志垣豊子のコラム

12.姉妹のような母娘、親子のままの母娘。

一時「二卵性双生児母娘」という言葉が流行ったことがあります。

姉妹のように何でも包み隠さず話し合い、もちろんショッピングも一緒に行って、
洋服も共有する仲の良さで、その睦まじさがマブシイというものでした。

いま60代70代になった私たちは、
親子関係は上下でなく横並びがよいという風潮が広がる中で子育てしたわけですが、
「子どもの不始末には親の顔がみたいという言葉が生きていたから、
“友だち母娘”と聞くと、ええ~っ!だった。
でも、一卵性母娘特集の雑誌は楽しかったわ」と振り返ります。

母と娘はどの位話しているのでしょうか?

姉妹のような母娘、何でも話し合う母娘も多いのでしょうけれど、
「結婚してから、口には出さないことが出来たように思う」という友人も
かなりいます。

「訪ねてきた時の様子で、ああ上手くいってるんだなあと安心します。
夫婦がギクシャクしていても言わないですものねえ」

「私だって、親に心配させたくないのと、自分でも悔しいことは親に知られたく
なかったから言いませんでしたよ」
と幸せのかけらを手繰って、ほっとしたり心配したりするのです。

生きていれば努力の甲斐なく辛い場面はありますが、そんな時は言葉に出せばもっと
悲しくなるからでしょうか、
じっと黙っている娘に胸を詰まらせることもあるのです。

「ひとりただただ涙です。そんな時の涙って熱いんですよね」と、切ない親心を話して
くれました。

口には出さなくても、母親にはそんな娘の背中を見てすべてを悟る能力があるのです。
安心してください。
(次号に続く)
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志垣豊子 しがきとよこ

DreCome60 grannny net 主宰。
2014年春まで、50代女性の異業種交流ネットワーク「50カラット会議」代表。

60代メンバーが増えたのを機会に、娘たちとのコミュニケーションを考えるgranny net
を開設しました。私には娘と息子に、合わせて3人マゴがいます。小学生と中学生。

歳をとるのは誰も初めて。けれど人類の歴史は長いのです。学べることはたくさんありそう。
自分の生き方と共に、娘たちマゴたちが笑って過ごせる日々のために出来ることを見つけたいと思います。

granny netにはいろいろな職業、失敗も含め子育て体験豊かなおばあちゃんがいます。
例えば、医者、料理研究家、建築家、編集者、心理学者、作家、画家、ファッションデザイナー、 市場調査研究者。みんな笑うこと、喋ることが大好き。

いつまでも誰かと一緒にごはんを食べたいと作った本に、『笑ってごはん』(家の光協会刊)も あります。

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