志垣豊子のコラム

6.「ヘアスタイル」  ささやかな気合いなんです。

50代半ばに一度だけくるくるっと巻き上げて、まるでフランスのマダムみたいな後姿に憧れたことがある以外は、ずっとショートカット。あの数年間に遊んだバレッタは、いまわが家のレースカーテンのタッセル代わりを務めています。
ショートスタイルは、清潔第一だった小学時代、運動に明け暮れた学生時代、朝から大汗かく子育て時代の選択以来、すっかり定番になりました。

短い髪は洗うのも簡単で、この暑さで髪もびしょびしょの汗っかきには大助かりですが、さすがにオトナになってからは「これがやりたくてショートなの」という一工夫をしています。
「気を遣わないのね」という切りっぱなしでなく、どうしたら「髪で遊んでる」表現ができるのか。ほんの小さな挑戦です。

先日山手線の中で隣に立った男の子のヘアスタイルに、あっ!
片方の耳上は刈り上げてあり、その上からカットした髪を反対側に流しています。近頃のおしゃれな男性たちのファッションは、コレいただき!というヒントがいっぱい。さすがに刈り上げはしませんが、髪の流し方は真似てみようと思いました。

同年代では、染めずに美しい白髪を結い上げている方も多くなりましたが、ショートスタイルから染める面白さは捨てられず、多分7割がた白髪の自分を検分していません。
染め色はだんだん薄めの茶になりました。白髪がかった茶髪が気に入っています。
また汗っかきの夏はびっしょりの髪をタオルで掻き回すように拭いたりするので、髪の先っぽが外向きにくるっとはねるようにパーマもかけたい!
無地のTシャツに何気ないシンプルなスカートやパンツを合わせたおばあちゃんのささやかな気合いです。

ここまで書いて、ふと子育て中に子供たちから言われた言葉を思い出しました。
それは授業参観日の朝でした。 「ママ、ふつうの格好で来てね。髪も“おかあさん”みたいに」。
その日は仕事の合間に学校へ行くつもりですから、スーツに合わせたショートスタイル。でもふと鏡を覘くと、突っ立った前髪。これかあ。
つまらないの!となでつけましたが、子供は何故「ふつう」が好きなのでしょうね?
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■志垣豊子 しがきとよこ

DreCome60 grannny net 主宰。
2014年春まで、50代女性の異業種交流ネットワーク「50カラット会議」代表。

60代メンバーが増えたのを機会に、娘たちとのコミュニケーションを考えるgranny net
を開設しました。私には娘と息子に、合わせて3人マゴがいます。小学生と中学生。

歳をとるのは誰も初めて。けれど人類の歴史は長いのです。学べることはたくさんありそう。
自分の生き方と共に、娘たちマゴたちが笑って過ごせる日々のために出来ることを見つけたいと思います。

granny netにはいろいろな職業、失敗も含め子育て体験豊かなおばあちゃんがいます。
例えば、医者、料理研究家、建築家、編集者、心理学者、作家、画家、ファッションデザイナー、
市場調査研究者。みんな笑うこと、喋ることが大好き。

いつまでも誰かと一緒にごはんを食べたいと作った本に、『笑ってごはん』(家の光協会刊)もあります。

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