志垣豊子のコラム

7.「まだ」と「もう」。 いつまでも I wish love。

「まだ」とか「もう」という言葉は、子供の成長や季節の移ろいに使っていたのに、いつしか体調や食欲や気力の表現に頻繁になりました。
イヤだわ。

「お若いですねと言われたら、実年齢を認識しないと」というけれど、教育偏差値でもあるまいし、どんな標準値があるのでしょうか?
何歳だと何ができる、何歳ならどう変わるというイメージが、「引き算」で表現されるのは何故でしょうか?納得と当惑が行き交います。

つい先日亡くなった哲学者で社会活動家でもあった鶴見俊輔さん80才の初詩集『もうろくの春』は、言葉が瑞々しく並び、一日一時をていねいに生きた人の、過去と区切りようのない「今」を『春』と呼ぶ力強さに打たれます。
また、久々に観たDVDの中で、往年の女優マレーネ・デートリッヒは人生を振り返りながらインタビューで答えています。「I wish love. This is Marlene Dietrich.」
そうだなあ。解るわなんて言われるより、好きだなあといわれる生き方をしたいなあと、新しい憧れをもらうセリフ。

昨日は歯医者さんで、「どんな治療をどこまでするかは、年齢を考えます。60代70代の方には、80代90代に大きな治療を受けずに済むよう、しっかりした土台づくりをしておかないと」と説明を受けてきました。
たしかに「もう」、老いていく体への対策が日常になったのです。
がしかーし!年月で煮詰まった楽しみが、「まだ」そこにあります。

娘たちの(大丈夫かいな?)の心配をよそに、I wish love!
ちなみに、love=warm feeling for。居心地のいい時間、場所、人、「まだまだ」あります。

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■志垣豊子 しがきとよこ

DreCome60 grannny net 主宰。
2014年春まで、50代女性の異業種交流ネットワーク「50カラット会議」代表。

60代メンバーが増えたのを機会に、娘たちとのコミュニケーションを考えるgranny net
を開設しました。私には娘と息子に、合わせて3人マゴがいます。小学生と中学生。

歳をとるのは誰も初めて。けれど人類の歴史は長いのです。学べることはたくさんありそう。
自分の生き方と共に、娘たちマゴたちが笑って過ごせる日々のために出来ることを見つけたいと思います。

granny netにはいろいろな職業、失敗も含め子育て体験豊かなおばあちゃんがいます。
例えば、医者、料理研究家、建築家、編集者、心理学者、作家、画家、ファッションデザイナー、
市場調査研究者。みんな笑うこと、喋ることが大好き。

いつまでも誰かと一緒にごはんを食べたいと作った本に、『笑ってごはん』(家の光協会刊)もあります。

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