志垣豊子のコラム

15.最後に。「大好き!」とBIG HUG送ります。

どうしてあんなに思い詰めたように向かい合っていたのか・・・と思い出すことがあります。

今思えば小さなことで、一言叱れば済んだはずを、次から次へと古いことまで引き合いに出して叱った記憶が苦く浮かびます。
時間に追われて、いくつもの家事を同時並行する子育ての日々は、些細なことで予定が狂うだけで、ありゃりゃな事態になりますね。

前の晩子どもの寝顔を眺めて、大らかなおかあさんでいようと決めたことなど一瞬で忘れて、事態収拾に向けて「早くしなさーい!」を連発した朝は数えきれません。
それだけならまだしも、世の中に出して恥ずかしくないように育てると張り切って、実はオヤの都合だったのではないかと振り返ることもあります。

そんな風に育った娘たちは、やっぱり同じように叱り飛ばしているのでしょうか?
あんな風に叱られた体験は、娘たちにどんな記憶を残しているのでしょうか?

理屈じゃなくて心が爆発して叱るのは、原因が子どものちょっとしたハズミだったにしても、オヤの心理状態次第の成り行きであったことは間違いなくて、今更ながら恥ずかしい話です。
なのに、へんに懐かしい。

もちろん、子育て中のおかあさんが皆そうだなんて言いません。

穏やかに育ったオヨメチャンは、マゴたちの言い分によく耳傾けてから、オヤの意見を言っているようですし、イクメン時代の昨今は家事も育児もしっかり分担が行き届いてきていることでしょう。

けれど、そんな様子を見聞きする度に感じるのは、とはいえ楽しい嬉しいという気持ちを言葉や体で表わせばよかったということです。

娘と「だあいすき!」と抱きしめて頬すりしたのはいつまでだったでしょう?

今改めて、「大好き!」のBIG HUG送ります。幸せでいてください。

※志垣豊子通信-「子育て中の娘たちへ」シリーズは、⑮で最後となります。
毎回楽しみにして下さった皆様、本当にありがとうございました!

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志垣豊子 しがきとよこ

DreCome60 grannny net 主宰。
2014年春まで、50代女性の異業種交流ネットワーク「50カラット会議」代表。

60代メンバーが増えたのを機会に、娘たちとのコミュニケーションを考えるgranny net
を開設しました。私には娘と息子に、合わせて3人マゴがいます。小学生と中学生。

歳をとるのは誰も初めて。けれど人類の歴史は長いのです。学べることはたくさんありそう。
自分の生き方と共に、娘たちマゴたちが笑って過ごせる日々のために出来ることを見つけたいと思います。

granny netにはいろいろな職業、失敗も含め子育て体験豊かなおばあちゃんがいます。
例えば、医者、料理研究家、建築家、編集者、心理学者、作家、画家、ファッションデザイナー、 市場調査研究者。みんな笑うこと、喋ることが大好き。

いつまでも誰かと一緒にごはんを食べたいと作った本に、『笑ってごはん』(家の光協会刊)も あります。

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